遺言書があれば安心ではない?遺留分と自筆・公正証書遺言の違いを税理士が解説
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「遺言書さえ書いておけば、財産は好きな人に好きなだけ残せる」と思われがちですが、実はそのとおりにならないケースがあります。ポイントは、最低限の取り分を保証する「遺留分」と、遺言書の**残し方(自筆か公正証書か)**です。この記事では、zeipTV で Miraie 会計事務所の糸田さんに伺った内容をもとに、遺言書の効力と実務的な残し方を整理します。
遺言書で「誰に残すか」は原則自由
相続は亡くなったときに起きますが、財産を誰に渡すかは本人が決めるのが原則で、遺言書があれば法定相続分と違う分け方ができます。
たとえば「家に寄りつかなかった長男ではなく、世話をしてくれた娘にできるだけ多く残す」といった指定は可能です。法律上は同等の相続人でも、遺言で差をつけられます。
ただし「遺留分」は奪えない
遺言が万能でないのは、遺留分(いりゅうぶん)があるからです。遺留分は、配偶者や子どもなどに保証された最低限の取り分で、遺言でも奪えません。
- 遺留分は法定相続分の半分。たとえば配偶者(法定相続分1/2)なら1/4、子ども2人のうち1人(法定相続分1/4)なら1/8
- ただし請求しなければもらえません。請求期限は知ってから1年程度と短く、制度を知らないまま終わるケースも実際には多い
「愛人にすべて残す」のような極端な遺言も形式上は書けますが、法律的に否定されるケースが多く、遺留分の請求も受けるため、思いどおりにはなりにくいのが実情です。
自筆の遺言書は「争いのもと」になりやすい
遺言書には大きく2種類あります。
| 種類 | 作り方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 本人が手書きで作成 | 手軽だが、「本当に本人の筆跡か」「誰かが書き換えたのでは」という争いになりやすい。署名忘れなど形式ミスで無効になることも |
| 公正証書遺言 | 公証役場で公証人・証人立ち会いのもと作成 | 公証人が内容を記録・保管するため後から争われることがほとんどない。ただし役場へ行く手間と数万円の費用がかかる |
確実さでは公正証書遺言が一番ですが、高齢で体が不自由な方が証人を連れて公証役場まで行くのは現実には難しく、あまり使われていないのが実情です。
手頃で確実な「法務局の自筆証書遺言保管制度」
そこで近年始まったのが、自筆証書遺言を法務局が預かる制度です。
- 本人が法務局に持参し、本人確認のうえで保管される
- 後からの書き換え・紛失を防げる
- 手数料は公正証書より安い
「手軽さと確実さを兼ね備えた方法」として、最近はこの方法が増えているとのこと。自筆で書いたうえで法務局に預ける——迷ったらまず検討したい選択肢です。
よくある質問
Q. 遺言書があれば特定の人に全財産を残せますか?
原則は自由に指定できますが、配偶者や子どもには遺留分(法定相続分の半分)があり、請求されればその分は渡す必要があります。
Q. 手書きの遺言書は法的に有効ですか?
本人の自筆で正しい形式(署名など)を満たしていれば有効です。ただし筆跡や書き換えをめぐる争いになりやすく、形式ミスで無効になる例もあるため、法務局の保管制度や公正証書遺言の利用が安全です。
Q. 公正証書遺言と法務局保管はどちらがいいですか?
確実さでは公証人が作成・保管する公正証書遺言が上ですが、手間と費用がかかります。手頃さとのバランスでは、自筆証書遺言を法務局に預ける保管制度が現実的な選択肢として広がっています。