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消費税の簡易課税と一般課税はどっちが得?違いと選び方を税理士が解説

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インボイス制度を機に課税事業者になった小規模な会社・個人事業主にとって、「簡易課税一般課税(原則課税)のどちらを選ぶか」は消費税の負担額と事務の手間を大きく左右する選択です。結論を先に言うと、自社の業種の「みなし仕入率」と、実際に消費税を払っている経費の割合を比べるのが判断の基本で、実務では選べる事業者の9割ほどが簡易課税を選んでいるとのこと。この記事では、zeipTV で小林税理士に伺った内容をもとに、違いと選び方を整理します。

簡易課税と一般課税の違い

  • 一般課税(原則課税): 売上で預かった消費税から、経費で実際に支払った消費税を差し引いて納税額を計算する
  • 簡易課税: 実際の支払いは見ずに、売上の消費税に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けて、支払った消費税とみなして計算する(売上5,000万円以下の事業者が選択可能)

みなし仕入率は業種ごとに決まっています。動画で挙げられた例は次のとおりです。

業種の例 みなし仕入率
卸売業 90%
小売業 80%
飲食店業など 60%
コンサルティングなどのサービス業 50%

たとえば卸売業なら「売上の9割は仕入などで消費税を払っている」とみなしてもらえる、という仕組みです。

有利判定のしかた:みなし仕入率と実際の割合を比べる

判断の手順はシンプルです。

  1. 自社の業種のみなし仕入率を確認する
  2. 売上に対して、消費税がかかる経費(外注費・仕入など)を実際にどれくらい払っているかを把握する
  3. 両者を比べて、納税額が少なくなる方を選ぶ

動画の例(サービス業・みなし仕入率50%)で見てみます。

ケース 一般課税の納税額 簡易課税の納税額 有利なのは
売上100万・外注50万 5万円 5万円 同じ
売上100万・外注80万 2万円 5万円 一般課税
売上100万・外注20〜30万 7〜8万円 5万円 簡易課税

つまり、外注をほとんどせず自分で仕事をしている事業者ほど簡易課税が有利になりやすく、外注費など課税仕入れが多い事業者は一般課税が有利になります。

選ぶときの注意点:事前届出・2年縛り・還付なし

簡易課税には、金額の損得以外に重要な制約があります。

  • 適用したい年度が始まる前に届出が必要。申告のタイミングでは選べず、来年の数字を「予測」して決めることになる
  • 一度選ぶと最低2年間は継続
  • 還付が受けられない。一般課税なら、大きな設備投資などで支払った消費税が預かった消費税を上回れば還付されますが、簡易課税は売上ベースの計算のため、赤字でも消費税を納めることになる

このため、車の購入(500万円以上など)や大きな設備投資を予定している年は一般課税を検討する、というのが実務的な考え方です。将来の予測に完璧はないので、動画では「そこまでナーバスに時間をかけて予測しても意味がない。大きな買い物の予定があるかどうかで判断すれば十分」とアドバイスされています。

事務負担の差は圧倒的:実務では9割が簡易課税

簡易課税の最大のメリットは事務手続きが圧倒的に楽なことです。

  • 取引先の請求書・領収書がインボイスのルールを満たしているかの確認が不要
  • 相手がインボイス登録事業者かどうかも気にしなくてよい

一般課税では取引ごとにインボイスの確認が必要になるため、税理士に依頼する場合の申告報酬も1.5〜2倍程度の価格差がつくのが一般的とのこと。こうした手間とコストも含めると、動画では「売上5,000万円以下で選べる会社さんは、ほぼ9割が簡易課税を選んでいる」という実感が語られています。残りの1割は、みなし仕入率を明らかに上回る課税仕入れ(20%以上の差など)がある会社です。

なお、複数の事業を行っている場合は売上の割合で按分する形になり、数字の把握が煩雑になるため、売上をどの事業のものか明確に区分しておく必要があります。

よくある質問

Q. 簡易課税はいつまでに届け出ればいいですか?

適用したい課税期間(年度)が始まる前までに選択の届出が必要です。年度が始まってから・申告のときに選ぶことはできず、選んだら最低2年間は継続します。

Q. 赤字でも消費税を払うことがあるのは本当ですか?

簡易課税を選んでいる場合はあり得ます。計算が売上ベースのため、大きな投資や急な売上減で実際には消費税を多く払っていても、還付は受けられません。大きな支出の予定がある年は一般課税を検討しましょう。

Q. どちらを選ぶか迷ったらどうすればいいですか?

まず自社のみなし仕入率と、消費税がかかる経費の割合を比べるのが出発点です。差が5〜10%程度の予測しづらい範囲なら、事務負担の軽い簡易課税を選ぶのが安全、というのが動画でのアドバイスです。

この動画に出演した税理士

埼玉県出身 早稲田大学理工学部卒業。 現三菱UFJ銀行入行後、現(株)KPMG FAS、現ペンデル税理士法人を経て、平成18年 小林伸也税理士事務所開業。 平成19年 東京税理士会 四谷支部...
得意分野
顧問税理士
経理・決算
税務調査