総合型の税理士事務所は何ができる?多角化の理由とM&A支援の中身を聞いた
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税理士事務所の中には、社労士・行政書士・弁護士などと連携して総合型(ワンストップ)で多角化するところがあります。経営者にとって何がうれしいのか。zeipTV で、多角化を進める BIZARQ の吉岡さんに、その理由と実際にできることを率直に伺いました。「どの士業に相談すればいいか分からない」問題の解消が、実は最大の価値です。
税理士は経営者の「ニーズが見える」仕事
税理士は顧問先の売上・従業員数・現金残高まで把握しています。言い方を選ばずに言えば「物が売りやすい」、良く言えばお客様のニーズに合った適切な提案ができる立場です。
たとえば個人事業主が儲かってきたら法人化の相談が来る——そこには会社設立(行政書士・司法書士)、社会保険の手続き(社労士)、給与計算、補助金・助成金と、税務以外のニーズが連鎖的に発生します。総合型はこれを先回りして案内できるのが強みです。
経営者側のメリット:「どの士業に頼むべきか」を考えなくていい
多くの経営者は、そもそも行政書士に頼むべきか社労士に頼むべきかの区別すら分からないのが普通です。多角化した事務所に顧問を頼むと——
- 手続きの漏れ(契約書を巻き忘れた等)に周りの士業が気づいてリカバリーしやすい
- 初めての手続きを自分で調べてやる時間(外注費の3〜5倍かかることも)を買える
- 税務申告も「税理士も見るが社長も見る」という相互けん制が働く
一方で「税理士は何でも無料でやってくれる」という期待には釘を刺しています。給与計算のような業務も、本来は適正な対価で専門家に頼むべきもの。無料で抱え込むことは、士業へのリスペクトを欠き、事務所のメンバーを疲弊させ、経営者の金銭感覚にとっても良くない——というのが多角化して「値付けをちゃんとする」ことにした理由のひとつだそうです。
M&A は総合支援の代表例
多角化の価値が最も分かりやすいのが M&A(会社の買収)支援です。買う側が確認すべきことは多岐にわたります。
| 調査(デューデリジェンス) | 見るもの | 担当領域 |
|---|---|---|
| 財務 DD | 財務状況が適正か | 会計・税務 |
| 労務 DD | 残業代の未払い・労基との関係 | 社労士 |
| 法務 DD | 契約書の洗い出し・不利な条項・簿外債務 | 弁護士 |
これらを一つの窓口で総合的に支援できるのが多角化した事務所の強みです。日常の顧問業務でも、「売掛金が増え続けている → 実は取引先がお金を振り込んでくれない滞留だった → 弁護士案件として対応」のように、数字の異変から法的トラブルを察知した実例も語られています。
税理士業界の内側:儲かるより「積み上げ」の商売
背景として、税理士業は1件あたり月3万円といった積み上げ型のビジネスで、初期はキャッシュ的に楽ではないこと、その分毎月キャッシュが入る安定性と信用力があることも率直に語られています。マーケティング費用が売上の2〜3割かかる業界で、多角化による相互紹介は営業効率を大きく高める——事務所選びの際、こうした構造を知っておくと、料金や提案の背景が理解しやすくなります。
よくある質問
Q. 総合型(多角化した)事務所に頼むメリットは何ですか?
「どの士業に相談すべきか」を自分で判断しなくてよくなることです。法人化・社会保険・助成金・契約トラブルなど、税務から派生するニーズを一つの窓口で先回りして案内してもらえます。
Q. M&A を検討するとき税理士事務所に何を頼めますか?
財務デューデリジェンス(財務状況の適正性チェック)を中心に、総合型なら労務 DD・法務 DD も連携して対応できます。買収後に発覚する未払い残業代や不利な契約条項のリスクを事前に洗い出せます。
Q. 給与計算は税理士の仕事ですか?
独占業務ではなく、実は誰でもできる業務です。ただし社会保険や労務管理は社労士の領域なので、セットで社労士に頼むか、総合型事務所でまとめて依頼するのが整理としてきれいです。